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恐怖の生コン体験

恐怖の生コン体験

イーアスつくばに向かう途中、右手にスタバがある交差点の右折車線に入ったところで、赤信号になり車を止めた。私の車の前には、道幅を塞ぐぼどの大型で年季の入ったコンクリートミキサー車が止まっていた。

信号待ちの間、前方の視界に回転するミキサー車のドラムが映った。セメントや水などの材料が分離しないように攪拌しているのだろうか。単に生コンが固まらないための回転だろうか。そんなどうでもいいことが頭に浮かび、何気なく眺めているうちに、ドラムの後方から子供のゲップのような生コンがひょいと吐き出された。少なくはないそこそこの量だ。
飛び出した生コンはすべり台のようなスロープを伝って、右の後輪の上に設置した受け皿に収まる仕組みになっているようだが、先客が受け皿口まで目一杯詰まっていてあふれんばかりだ。

ミキサー車と私の車の間にこぼれ落ちるのか?
一瞬そう思ったが、変化はない。
私の停車位置からはスロープの内部は見えないが、先ほどの生コンが受け皿まで落下する時間はとうに過ぎているので、受け皿然とした装置の底部は吐き出た生コンを溜め込むタンクと繋がっているのだろう。
そう思ってこの意味のない頭の体操はやめることにした。

信号が青になった。
交通量がある交差点なので右折可の矢印が出るまで動けない。やっと動き出したが、右折車が多いため遅々として前進せず、また赤かなと思った。
前方の大型ミキサー車で信号が死角になり見えないのだ。そればかりか普段なら右折進行方向にある歩行者用信号機の青の点滅具合で、こちら側の残された横断時間が測れるのだが、これも生コンの影だ。

仕方なく、右折矢印がまだ出ているならすぐに発進できる体勢を維持し、ミキサー車の車体が信号機を通り過ぎるまで待った。
これで生まれた車幅が功を奏することになる。

右折可の矢印はまだ付いていた。
一気にアクセルを踏み、二車線の追い越し車線側に車を乗り入れた。
咳き込む愛車をなだめつつ、流れに乗るためにさらに加速した左車窓に、先ほどのミキサー車の後部から身悶えするようにのたうち回る灰色の蛇が見えた。蛇は三種の神器よろしく勾玉然とした小石も従えている。
慌てて蛇から距離をとるため反対側にハンドルを切りながら、アクセルを踏みつけた。
タイヤが尻尾と小石を踏みつけた感触が体に伝わってきたものの、何とか蛇車を後方に追いやることができた。

ミキサー車は、溢れた生コンを溜めておくタンクは備えていなかった。遠心力を利用して公道に余分な生コンをまき散らすことで、受け皿を常に一定の割合で空けていたのだ。曲がり角のたびに蛇の尻尾を切るようにして。

ミキサー車後部のすべり台状の筒に詰まった生コンは、指で押さえたストロー内部の水の如く、大気圧の働きか表面張力のなせる業だろうか、直進時には微妙にバランスを取ってこぼれずに筒内に留まっているが、ひとたびカーブに差し掛かると均衡が崩れ、気泡が上がってこぼれ落ちる。
偶然か設計されたシステムか、私の妄想か。
いずれにせよ、信号を確かめるために停止した数秒間が生み出した幸運の車幅がなかったら、蛇の鎌首の餌食になっていたかもしれない。

あとになってこの瞬間を振り返ってみるとき、何故かドラゴンボールの七つの玉と神龍に遭遇したような楽しげな雰囲気が漂うイメージに変換されてしまう。実際には結構焦ったはずなのだが、おかしなものだ。

イーアスつくば前の交差点に近づいた。
ここはイーアスつくば行きが左車線、コストコ行きが右車線という暗黙のルールがある。
左車線に車線変更し、信号待ちの長い車列に並んだ私の車を、右車線を走るミキサー車が悠然と追い越していった。

蛇は消え失せていた。

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